2014年8月14日木曜日

愛着

理事長の中村嘉孝です。

生殖医療が社会的議論を呼ぶ事件が相次いで報道されています。一つはオーストラリア人の
カップルがタイで代理出産を依頼したけれど、産まれた双子のうち一人がダウン症で、引き取られ
なかったという話。

しかし、障害を持った子どもへの育児放棄は自然の出産でもありうる話でしょう。最近、ライオンの
母子を描いたドキュメンタリーを見ましたが、その中でも大怪我を負って半身が動かなくなった
子どもを長く見守っていた母ライオンが、ついには見捨ててしまう姿が描かれていました。もちろん、
現在の人間社会で許される話ではなく、たとえ親が放棄しても社会全体が責任をもって育ていく
べきものです。でも、障害児を引き取ろうとしない親がいる事自体については、取り立てて言うほどの
ことではないと思います。

ただ、代理出産について本質的だと思われる点もあります。私も産婦人科医として数多くの出産に
立ち会ってきましたが、一番、思っているのは「母は強し」ということです。いくら超音波の出生前
診断が進歩しているとはいえ、生まれてくるまで障害がわからなかったということはいくらでもあります。心待ちにしていたご家族に、一目でわかる奇形をもった赤ちゃんをお見せすると、それまでの
祝福ムードが一気に暗転、子どもを見たご主人が卒倒してしまうケースもありました。

しかし、いつも驚くのは産んだ母の姿です。どんな大きな奇形を抱えていても、生まれた子どもが
可愛くて仕方ない。全く平気で胸元に抱き寄せて、飽きずにずっと眺めています。これを「出産に
ともなって出されるホルモンが愛着を高めるからだ」と生物学的に説明することもできるでしょうが、
その姿を目の当たりにすると、やはり、絶対的な愛の力強さに心打たれます。

今回の報道でも、むしろ代理出産したタイ人女性が子どもを離さないという話もあります。
オーストラリア人カップルの詭弁だと報道されていますが、必ずしもありえないことではないと、私は
思っています。

他にも、同じタイで9人の子どもを代理出産させていた日本人の話、イタリアで胚移植の取り違えの
話がありますが、長くなりましたので、また、改めて。












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