2014年8月22日金曜日

病気治療のための卵子凍結

医師の田口早桐です。

論文紹介のブログでもご紹介しましたが、何らかの病気で治療が必要で、将来の妊娠への影響が心配な場合に卵子や受精卵の凍結が望ましいのは明らかです。以前に比べて卵子凍結はよく行われるようになってきました。パートナーがいないなどの社会的理由で凍結する場合は、本人が納得希望した上で凍結するわけですから、迷いは少ないです。しかし前述のように病気で凍結する場合は、病気を宣言されて不安になり、治療のことですっかり気が重くなっている上に、さらに卵子凍結の選択を迫られる、という、大変精神的にキツい状況に追い込まれます。病気が乳がんだったりすると、卵子凍結の際に排卵誘発で使用する薬剤なども不安材料になります。治療開始までの間に卵子凍結を、などと急かされるとなると、もう何も考えられない状態になります。

当院でも乳がん治療施設から、治療開始までに期間が限られているものの、治療後の妊娠のことを考えると卵子を凍結することが望ましいという理由で、患者さまが紹介されて来られます。当院は不妊治療クリニックで、凍結は日常的に行っていることではありますが、不妊治療とはまた別の問題を抱えて来られる方には初めから説明が必要になります。不妊治療を続けていて、「そろそろ体外受精かも」と思っている方は心の準備ができていますが、そうでない方にとっては、大変ハードルの高いものではあります。


特に患者さんが若年の場合には、さらに、決断に勇気がいるようです。この話をしていたら、当院の培養室にいるKateが、自分がイギリスの不妊クリニックで勤務していた頃の話しをしてくれました。彼女は主に精子を扱っていましたが、病気で精液を凍結する場合でも、若年者だと、非常に決断が鈍かったとのことです。精液は卵子に比べて準備も必要でなく、痛みもなく採取できるのに、なぜ?と思うかもしれませんが、良く考えたら20未満の男性にとって、将来の妊娠云々といってもすぐにピンと来ないのかもしれません。ましてや、卵子凍結となると、ものすごく決断にエネルギーがいることでしょう。今後もそのような患者さんの気持ちをきちんと汲みながら、治療にあたっていきたいものです。

















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