2015年3月10日火曜日

共生

理事長の中村嘉孝です。

先日、英国の議会が、受精卵の核を別の女性の卵子に移植する治療を承認した、
というニュースがありました。報道では「これによって、遺伝子上3人の『親』を
持つ子供が生まれる可能性が高まった」などといわれていますが、実はもうすでに、
そのような人は世界で数十人もいます。

米国でFDAが倫理的理由でストップをかけるまで、Dr. Cohenのラボではミトコン
ドリア病を治療するのに、ミトコンドリア移植をしていました。当時は、受精卵の
核をミトコンドリアに問題のない卵子に移植するのではなく、正常なミトコンドリアを
受精卵に注入する方法を行っていました。もともとの異常なミトコンドリアは残って
いるのですが、注入された正常なミトコンドリアが機能することで発病を防ぐこと
できます。

もちろん、核移植の技術はその当時からありましたが、より侵襲の少ない方法で
ということでミトコンドリアの注入をしていたのでしょう。もう20年近く前ですが、
私もCohenのトレーニング・ラボでミトコンドリア移植も核移植も両方とも練習しま
したが、もちろんミトコンドリア移植のほうが簡単でした。ただ、全てのミトコン
ドリアが置き換わる核移植のほうが、先の世代のことまで考えるとベターだと思い
ます。

ところで、どうしてミトコンドリアだけ別に自分の遺伝子をもっているのでしょう。
変だと思いませんか?ミトコンドリアは、かつて地球に原始的な生命しか存在しな
かった頃に、別の生き物だったものを自分の細胞に取り込んでしまったものだと
考えられています。だから、核の中の本体の遺伝子と別の遺伝子をもっているの
ですね。

そうして生物の長い進化の歴史を振り返ると、もともと共生しているだけのミトコン
ドリアの遺伝子別の人のものだからといって、とりたてて気にするほどのことが
ないように、私には思えてくるのです。













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